UBUSUNA TESHIGOTO CoWORKING
SUSUDAKE BUTTON DAISUKE KIBE
SUSUDAKE BUTTON DAISUKE KIBE
花の香酒造のお酒「産土 ubusuna」が、藍甕にトクトクと注がれていく。日本酒は藍の栄養源となり、還元酵素を活性化させ発色を促す。ここは、熊本県水上村の山中にある藍染工房、organic 藍 farm nagomiya。運営しているのは、瓦川陽大、佳奈夫妻である。 使用しているタデ藍は、すべて陽大が無農薬無肥料で育てたもの。収穫された藍は、蒅作り、藍建という過程を経て染料となる。佳奈はそれを使って、洋服や小物などを、顧客の注文に沿って染めていく。 化学薬品を使ってたてる、いわゆる化学建てであれば、薬品を混ぜればすぐに色が出るが、微生物の力を借りる発酵建てではそうはいかない。「色が出るのは早くて1週間後。遅ければ1ヶ月たっても発色しない場合もあります」と陽大が語る通り、うまくいくかどうかは自然の思し召し次第という仕事である。
夫妻がこの村に移り住んだのは、子育てがしやすい環境を求めてのことだった。自然に囲まれ水が綺麗な水上村は、子育てに理想的な場所に思えたし、幸い子供達も気に入ってくれた。佳奈が当時を振り返る。 「引っ越した後にどうやって生きていくかを相談しました。ここから外に働きに出るのは難しい。この場所で暮らすには、自分達で仕事を作らなければならない。そう考えて藍を生業にしたんです」 その色合いや効能、発酵の仕組みなど、日本の藍の素晴らしさを学び、仕事にしようと決めたのはいいが、なにぶんわからないことばかり。藍の産地の徳島や藍染めが盛んな栃木に足を運んで教えを請うた。その甲斐があって、藍の収穫も安定し、染めもコンスタントに色が出るようになった。
水の質や天候、気温などに左右される藍染めは、風土に根差した仕事だ。 「うちは本当に発酵の力だけで染料を作っています。蒅(すくも)を液体にするのも発酵の力。だから、発酵の状態を日々見て感じていないと、今でも失敗してしまうことがある。突然色が出なくなったり、発酵が止まってしまうこともあるんです」と陽大は言う。 ときに足踏みすることはあるとは言え、ようやく満足できる色が出るようになった今、力を入れているのは、藍をもっと世に広めていくことだ。
nagomiyaでは、2022年より藍染体験を精力的に実施。水上村の工房でワークショップを開催するほか、熊本県内外に出張して藍染教室を行っている。 「体験してもらうことで、藍がどういう植物なのかとか、どうやったらこの葉から青が出てくるのかを知ってもらえる。そして、実際に染めることでその価値をわかってもらえるんだと思います」と陽大。 「わざわざ、こんな山の中まで藍染め体験をしに来てくれるんですよ。日本の藍が素晴しいからだけど、同時に私達のライフスタイルに共感して来てくださる人も多いと思う。それは本当に嬉しいことです」と佳奈も目を細めた。 産土の服作りに参画したことについては、自分たちの仕事を広めるチャンスだと受け止めている。また、水俣浮浪雲工房による肥後木綿の手紡ぎの糸を染めたことは、彼らにとって大きな刺激になったようだ。「あれほどまでこだわって作られた糸を染めることができたことは光栄なこと」と二人は語ってくれた。(2024年10月31日時点での記事)
花の香酒造のお酒「産土 ubusuna」が、藍甕にトクトクと注がれていく。日本酒は藍の栄養源となり、還元酵素を活性化させ発色を促す。ここは、熊本県水上村の山中にある藍染工房、organic 藍 farm nagomiya。運営しているのは、瓦川陽大、佳奈夫妻である。
使用しているタデ藍は、すべて陽大が無農薬無肥料で育てたもの。収穫された藍は、蒅作り、藍建という過程を経て染料となる。佳奈はそれを使って、洋服や小物などを、顧客の注文に沿って染めていく。 化学薬品を使ってたてる、いわゆる化学建てであれば、薬品を混ぜればすぐに色が出るが、微生物の力を借りる発酵建てではそうはいかない。「色が出るのは早くて1週間後。遅ければ1ヶ月たっても発色しない場合もあります」と陽大が語る通り、うまくいくかどうかは自然の思し召し次第という仕事である。
夫妻がこの村に移り住んだのは、子育てがしやすい環境を求めてのことだった。自然に囲まれ水が綺麗な水上村は、子育てに理想的な場所に思えたし、幸い子供達も気に入ってくれた。佳奈が当時を振り返る。 「引っ越した後にどうやって生きていくかを相談しました。ここから外に働きに出るのは難しい。この場所で暮らすには、自分達で仕事を作らなければならない。そう考えて藍を生業にしたんです」 その色合いや効能、発酵の仕組みなど、日本の藍の素晴らしさを学び、仕事にしようと決めたのはいいが、なにぶんわからないことばかり。藍の産地の徳島や藍染めが盛んな栃木に足を運んで教えを請うた。その甲斐があって、藍の収穫も安定し、染めもコンスタントに色が出るようになった。
水の質や天候、気温などに左右される藍染めは、風土に根差した仕事だ。 「うちは本当に発酵の力だけで染料を作っています。蒅(すくも)を液体にするのも発酵の力。だから、発酵の状態を日々見て感じていないと、今でも失敗してしまうことがある。突然色が出なくなったり、発酵が止まってしまうこともあるんです」と陽大は言う。 ときに足踏みすることはあるとは言え、ようやく満足できる色が出るようになった今、力を入れているのは、藍をもっと世に広めていくことだ。
nagomiyaでは、2022年より藍染体験を精力的に実施。水上村の工房でワークショップを開催するほか、熊本県内外に出張して藍染教室を行っている。 「体験してもらうことで、藍がどういう植物なのかとか、どうやったらこの葉から青が出てくるのかを知ってもらえる。そして、実際に染めることでその価値をわかってもらえるんだと思います」と陽大。 「わざわざ、こんな山の中まで藍染め体験をしに来てくれるんですよ。日本の藍が素晴しいからだけど、同時に私達のライフスタイルに共感して来てくださる人も多いと思う。それは本当に嬉しいことです」と佳奈も目を細めた。
産土の服作りに参画したことについては、自分たちの仕事を広めるチャンスだと受け止めている。また、水俣浮浪雲工房による肥後木綿の手紡ぎの糸を染めたことは、彼らにとって大きな刺激になったようだ。「あれほどまでこだわって作られた糸を染めることができたことは光栄なこと」と二人は語ってくれた。 (2024年10月31日時点での記事)
熊本にしかない藍はないものかと、色々と調べていくと、一冊の文献に出会った。それが『日本山林副産物製造編』だ。ここには、乾燥させた葉から藍玉を作って保存、それを使って染色していると記されている。これを再現できないかと瓦川夫妻に相談すると快諾してくれた。夫妻は本業の合間に、手探りで肥後藍の復元に取り組んでいる。その成果が出る日も遠くないはずだ。
熊本にしかない藍はないものかと、色々と調べていくと、一冊の文献に出会った。それが『日本山林副産物製造編』だ。ここには、乾燥させた葉から藍玉を作って保存、それを使って染色していると記されている。これを再現できないかと瓦川夫妻に相談すると快諾してくれた。夫妻は本業の合間に、手探りで肥後藍の復元に取り組んでいる。その成果が出る日も遠くないはずだ。
© ubusuna 2024 Furushohonten